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迷宮

迷宮の中は暗く、薄暗く
薄暗い灯りは真実のみ掠めて通ってゆきます。


果てしなく続く電話の呼び出し音は
迷宮の闇をいちだんと落とします


伝えたいことは
ほんの一瞬のタイミングで永久に語られぬ言葉になります
語られぬ言葉は迷宮の中で永遠の輝きを放ちます
それは時が経てば薄灯りのようになっています
果てしなく それは薄れてゆくほど美しさを増していくような


ほんとうに伝えたいことはたったひとつ
確かな輝きを持って


そんな宝石が迷宮の闇をほんの少しやわらげて


迷いつづけます


宝石のかけらがとても痛いときは
空を見上げます
高いところから見る東京の風景はとてもきれいでとても哀しい


待っている電話の音は鳴りません
迷宮の中はいつも独りで
電話の前で立ち続けています
真実のみ掠めるほのかな灯りが私をますます混乱させる
永遠に呼び出し音の向こうの誰かの声を待っています
真実が見えそうで見えない
呼び出し音は鳴りません
迷宮のどこかで戸惑っています
迷宮の出口はありません
私を呼び出すあの声に縛られています
迷宮の入り口は見つかりません
語られなかった留守番電話の無言の意味を探しています
真実を探しています
答えを、ください
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