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ギリギリデイズ


松尾 スズキ / 文藝春秋(2005/07/08)
Amazonランキング:10,824位
Amazonおすすめ度:

松尾スズキの本。初モノです。


ご存知の方はご存知だろう。松尾スズキが何者なのか。
大人計画という劇団の主宰であり、俳優であり、劇作家でもあり、演出家でもあるおっさんです。


大人計画には脚本家の宮藤官九郎やら阿部サダヲやらネットで有名な宮崎吐夢やらがいます。
いい感じにマニアックな集団です。


と、松尾スズキとその周辺の人の説明はさておき。


ウェブ日記を文庫化(その前にハードカバーにもなってる模様)したのがこの本。
実はウェブが元になってる本を買うのは初めて。

ちょっとした偏見があったりなかったりして手が出なかったのですが、面白かったです。


私の話になりますが、常日頃からなんとなく思っていることがあって。
「私って現実感ないよなぁ」
みたいなこと。


色々なことを頭で考えてるうちに、現実がどんどん遠のいていく感覚があるのですね。それでしんどくなっちゃって、実際の生活がグダグダになるという。


なんだか彼の日々のグダグダを読んでいて、「あ、皆そうなんだ。こっちの種類の人達は」なんて変な安心したりね。
「俺はしんどい。俺は辛い。辛いけれどこの辛いのなくなったらきっと作品かけなくなる」みたいなぼやきが出てくるんですけれど、これはまったくその通りだよ!おじさん!ってうなづいてしまいました。


うおーーーーーすげーーーーーーって思う作品って、つくった人の精神状態がぎりぎりの時だったり、すっごいしんどい時に書いてたり、ともかくも幸せそうじゃない時が多い。これは間違いないと思う。


その昔、真田広之がハムレット(だったかな…)を演じた時、ものすごく高い評価を得たんですね。実生活で離婚だーなんだーとごったごたして、いかにもしんどそうなその時期の真田は輝いていた…と言っていたのは、当時某情報誌で演劇担当していた方。


本の内容と、話がえらくずれたけれど、この本の面白いところは脚注がついているところ。脚注をつけているのは宮崎吐夢。
知っている人は知っていると思います。


「かーいこーくしーてくーださーい」


の、声をやっている人です。こんなサイトをやってます。
脚注の目線が、すごくなんていうかテレビのこちら側。
演劇がらみになると演劇の人。そんな感じの素敵な脚注がついています。


後半、不穏なうえに中途半端なところで本が終わるのですけれど、最後の最後に種あかし。こういうことを真面目にやれる大人って、すっごくいいなと思うのですが。…明らかにダメ人間の部類に入りそうだけれども。


ダメダーダメダーってぼやき続けてるんだけれど、不思議と癒される本でした。肩の力抜きたい時は、こういう方向性で力抜いてもいいんじゃない?っていう。


ウェブでノーギャラ前提で書いてる文章だけに、他の雑誌などでみるコラムとはまた違った一面が垣間見れます。ファンじゃなくても楽しめる、と、思うよ。マニアックだけど。出てくる話題。
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