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「彼」へのエール

「彼」は、大好きな人と、決着をつけるためにやってきた。
彼女はすでに、彼に別れを切り出していた。…半年前に。
彼にとって、彼女は何にも替え難いほど大切な人だった。
彼にとって彼女は、他の何を譲れても、それだけは譲れない、
なくしたくない人。
そういう人だったのだ。
彼は、彼女のことが本気で好きだった。いや、今もきっと好きだろう。

悲しいことだけれど、人の気持ちはどうにもならないものだ。
結末は見えていたのだ。きっと、
彼にも解りすぎるほど解っていたはず。
あがけばあがくほど、彼女との距離は離れる、
わかっていても、あがかずにはいられないんだろう。

そんな経験は私にもある。
だからわかる。
どうしても大切で、大切で、好きで好きでしょうがない、
絶対にこれだけは手放したくない、でも…
手放さなくてはならない時。
非常に辛いけれど、出口は見えないけれど、
その中で必死にあがくのはとっても辛いことだけれど、
それをやらないと次には進めない。

結局彼女も彼もすっきりしないまま、彼は帰っていった。
でも、今は先に進んでいないように見えても、きっと彼の中で…
何かが進んでいるはずだ、と、私は思う。

行ったり戻ったり、回り道したり迷ったりしながら、
それでもこれを乗り切ったら、きっと何かが見つかるはず。
そしてそれは、かけがえのない財産になることだろう。
私は彼にいつかその日が来るのを、
祈りながら応援することしか出来ない。

誰に気持ちをぶつけても、これは彼がひとりで答えを見つけなければ
ならないのだから。
何かを産み出す作業のように、自分を生まれ変わらせる作業。
それは誰も助けることが出来ない。

…がんばってね。
そしていっそう素敵な人になって、
再会できる日を楽しみにしています。
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