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たいこという名前

たいこ、というハンドルネームは結構目立つらしい。
大抵「サザエさん」のたいこさん?とか、太鼓?とか聞かれる。
通りもいいので、最近では「サザエさん」と言う事にしている。

たいこというのは、実は犬の名前。
私が飼っていた犬だった。
多分、まだ元気で生きてると思う。多分、というのは、彼女が今、
どこでどうしているのかを知る由がないからだ。

たいこは捨て犬だった。
友達の母親が拾ってきた犬だった。

当時、私は大失恋で、とんでもなく落ち込んでいた。
そんな時にうちにやってきた犬だった。

たいこは、かなり私の心の支えになっていた。
たいこがいたから、私は立ち直れたんだと思っている。

たいこは、とても気性の荒い犬だった。
そしてとても寂しがり屋だった。

…飼い主にそっくりだと、周囲から何度言われたことか…

愛情表現は…噛みつきだった。

たいことは、3,4年一緒に暮らした。

結婚して、子供が産まれて、都営住宅に引っ越すことになった時、
泣く泣くたいこを里子に出した。

里親の娘さんが、「たえこ」さんという人だったため、
たいこは「ルル」に改名されてしまった。

たいこは、たいこでなくなってしまった…

その里親の所からまた別の所にもらわれて行ったのだ。
なのでもう、どこにいるのか分からない。

…そんなわけで、私がその名前をもらったのだ。

ちなみに、最初につけた「たいこ」の名前の由来…
これは、犬を拾ってきた友達の、当時稽古中だったお芝居の、
彼女の役名であった。
博多在住、主人公の母親、橋本たい子52歳。

しかし、本当にかわいらしい犬だった。
あのかわいらしさで、保健所一歩手前から今まで生きてきた犬である。
なので、きっと…
今もどこかで可愛がられているだろう。
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