ショートストーリー
◆とあるサークルで書いたリレー小説です。だから完結も何もしてないの。
すでに空になっていた。
ない。ない。ないない。
もう一度なかを覗いてみる。やっぱりない。
「あれがないと困るのに…」
そう、いつか使う日のために、大事に大事に取っておいたのだ。
今こそ、あれを使う時。
今を逃していつ使う。
そんな気分だったのに。
いっつもこうなのだ。普段は何気なく目についているのに、必要な時に出てこない。
探しても探しても、その時にはどうやったって出てこない。
タイミングを逃して、使う時期を逃して、途方にくれていると、ふと目の前にあったりする、そんな感じ。
でも。
これだけは失くしたらいけないのに。
何がなんでも見つけないと。
大事で大事で、だからなくならないように、大事に箱に入れておいた。
カギを何重にもかけておいた。
・・・なくなるはずなど、ないのに。
あるはずなのに。いつの間になくなったんだろう。
あると思うから、いくらでもどうにでも笑ってこられた。
あると思うから、何をされても言われても、笑って誤魔化せた。
でも、誰にも見られたくなかった。
その結果がこれか。
どうしてもうちょっと早くに…見ておかなかったんだろう。
そんな後悔ばかりが頭をよぎる。
ない、と、気づいた瞬間、世界はこれほどまでに頼りなく、不安定なものなのか。
昔はこんなに大事にしまっていなかった。当たり前に、手元にあった、それ。
でも、自分の一番大切なそれは、理解される事もなく、みんなの嘲笑の的になった。
自分の一番大事なものを、理解されないどころかバカにされるなんて、とてもとても耐えられなかったのだ。
だから、蓋をして、鍵をかけた。
解らない奴なんかほっとけばいい。しょせんその程度の奴なんだ。
いつか、これを理解してくれる誰かが現れるはず。そう。自分は特別なんだから。
そんな風に思い続けていた。いつか現れるはずの誰かは、未だに現れない。
・・・いや、怖くて見せる事が出来なかったのだ、いままで。
あの子は・・・初めて見せてもいいかなって思える子だったんだ。
あの子ならきっと・・・でも、もしあいつらと同じように嘲笑われたらどうしよう。
そんな事を思い続けていたんだ。
もう、限界なんだ。
見せないわけにはいかない。
今しかないんだ。なのに。なのに。
なくなってるなんて・・・自分の信じてきた自分は、一体どこに置いてきたんだろう。
一体今の自分はなんなんだろう。
なくなるはず、ないじゃないか。そうだ、きっとあるはず。諦めきれず、もう一度箱の中を覗く。
…隅に、小さな小さな、それを見つけた。
もう、曇ってしまってどうにもならないように見える、それ。
あの頃から比べたら、どうしようもなく小さくなってしまった、それ。
長い間、しまっておいた結果がそれなのか。
今ならまだ間に合うかもしれない。大丈夫だ。大事に大事に磨こう。
そうしよう。
それに手を伸ばす。
手を伸ばした瞬間・・・それは跡形もなく、崩れ落ちた。
え・・・・・・・・・・!
ビクッと目を覚ました。
すでに空になっていた。
ない。ない。ないない。
もう一度なかを覗いてみる。やっぱりない。
「あれがないと困るのに…」
そう、いつか使う日のために、大事に大事に取っておいたのだ。
今こそ、あれを使う時。
今を逃していつ使う。
そんな気分だったのに。
いっつもこうなのだ。普段は何気なく目についているのに、必要な時に出てこない。
探しても探しても、その時にはどうやったって出てこない。
タイミングを逃して、使う時期を逃して、途方にくれていると、ふと目の前にあったりする、そんな感じ。
でも。
これだけは失くしたらいけないのに。
何がなんでも見つけないと。
大事で大事で、だからなくならないように、大事に箱に入れておいた。
カギを何重にもかけておいた。
・・・なくなるはずなど、ないのに。
あるはずなのに。いつの間になくなったんだろう。
あると思うから、いくらでもどうにでも笑ってこられた。
あると思うから、何をされても言われても、笑って誤魔化せた。
でも、誰にも見られたくなかった。
その結果がこれか。
どうしてもうちょっと早くに…見ておかなかったんだろう。
そんな後悔ばかりが頭をよぎる。
ない、と、気づいた瞬間、世界はこれほどまでに頼りなく、不安定なものなのか。
昔はこんなに大事にしまっていなかった。当たり前に、手元にあった、それ。
でも、自分の一番大切なそれは、理解される事もなく、みんなの嘲笑の的になった。
自分の一番大事なものを、理解されないどころかバカにされるなんて、とてもとても耐えられなかったのだ。
だから、蓋をして、鍵をかけた。
解らない奴なんかほっとけばいい。しょせんその程度の奴なんだ。
いつか、これを理解してくれる誰かが現れるはず。そう。自分は特別なんだから。
そんな風に思い続けていた。いつか現れるはずの誰かは、未だに現れない。
・・・いや、怖くて見せる事が出来なかったのだ、いままで。
あの子は・・・初めて見せてもいいかなって思える子だったんだ。
あの子ならきっと・・・でも、もしあいつらと同じように嘲笑われたらどうしよう。
そんな事を思い続けていたんだ。
もう、限界なんだ。
見せないわけにはいかない。
今しかないんだ。なのに。なのに。
なくなってるなんて・・・自分の信じてきた自分は、一体どこに置いてきたんだろう。
一体今の自分はなんなんだろう。
なくなるはず、ないじゃないか。そうだ、きっとあるはず。諦めきれず、もう一度箱の中を覗く。
…隅に、小さな小さな、それを見つけた。
もう、曇ってしまってどうにもならないように見える、それ。
あの頃から比べたら、どうしようもなく小さくなってしまった、それ。
長い間、しまっておいた結果がそれなのか。
今ならまだ間に合うかもしれない。大丈夫だ。大事に大事に磨こう。
そうしよう。
それに手を伸ばす。
手を伸ばした瞬間・・・それは跡形もなく、崩れ落ちた。
え・・・・・・・・・・!
ビクッと目を覚ました。