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自由論

自由っていうのはなんだろうな。
社会というルールの中で生きている限り、完全な自由というものは味わえないのだろうな。


一番大事なとこ。


自由になりたいですか?


私は、なりたくない。と、答える。


何かに縛られるという事は、何かに管理されているという事は。
何かに庇護されているということだろう。


それはそれは、とっても孤独なことだろう。
他者が介在したならば、当然その間にルールが生まれるわけだから。
何をしても、誰にも迷惑をかけないで生きていくなんて不可能なことで、
どうやって生きたって、誰かしらに迷惑をかけている。誰だって。


何をしても誰にも迷惑をかけないで生きていくという事は即ち、迷惑のかかるような人が誰もいないということだ。
全く他者と関わることなく生きて行くということだ。


そういう状況を、自由と呼ぶのではないかなと思う。



干渉しあって、束縛し合って生きていけるというのはすごく幸せな事なのじゃないかなと。
そうやって、干渉や束縛の糸で繋がった同士のその繋がり。



昔、私がまだ劇団をやっている頃。
「たこ」というお題でお芝居をつくった。
有志の6人が、10分の持ち時間を自由に使う。ただしテーマは「たこ」


一番の年長で演出家だったメンバーが作ったお芝居がある。
台詞は、家族の日常的な会話だけ。
出演者は8人。
皆、腰を赤い紐で繋がれている。
赤い紐は8本全てが一箇所で繋がっている。


中心から、放射状に伸びた8本の赤い線の先に、それぞれが繋がれている。外を向いて。


自分の台詞を言う時は、必ず前に進む、というルールのみの芝居。
誰かが進めば、必然的にそれに引っ張られる他の7人。


飼い犬の「ワン ワン」という台詞にすら、家族がみんな引っ張られる。


めいめいが散々振り回された後、全員で「あけましておめでとう」


外側を向いていた家族が、初めて中心に向き直る。


とってもとっても幸せな束縛の話だと思ったのだ。
とってもとっても幸せな、不自由の話。


だからこそ、私は、自由なんてなるものじゃないな、と、思うのだ。
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