サボテンとバントライン
ホーイ、サボテン 緑の光 バントラインと僕を照らしてくれ
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今日は喧嘩をしてしまった 楽しい喧嘩の思い出 2016-09-12

僕の未来は火葬場の灰 大きな生ごみ 海の漂流物
君の未来はおんなじさ 僕らいつかはおんなじとこさ
僕の未来は火葬場の灰
(安心 / たま)

 

終わってしまえば大変なことも嫌なこともつらいこともいい思い出になるよ。みたいなことでしょうかね。
多分この曲はラブソング。いいなー。こんな感じなの。

ごきげんよう、たいこです。

 

夏はたまを聴いてる率が高いです。あと電車。そんな夏も終わったなあ……。と実感したのは、産女が終わったからです。
何度も書いている気がしますが、スタッフの初顔合わせは1月です。今年のスタートは4人だったので、1月から顔を合わせているのは4人なのですけれども。諸々の都合や何かで途中から参加してくれたスタッフ、快く手伝ってくれたスタッフ、そんな感じで最終的に5人のメンバーでイベントを終えました。

最終的に、HUDの配布数ベースでのゲームプレイ人数は、日本語版1,208名、英語版1,887名でした。初日に3,000人くらい行くといいなあ、となんとなく思っていたのですが、なんとか目標は達成したなーという感じです。
おそらく、2年前のカガミの時に初めて遊んで頂いた方も多いと思うのですが、カガミから鱗廻と、ホラーとしてはあまり怖くない、妖怪がメインのお話が続きまして。ちょっと怖いのやりたいなあ、という私のわがままを通してもらった形での今年の産女でした。
イベント部分にムービーを入れたいと言い出したのも私です。春のファンタジーフェアでのハントがなかったら、こんなこと思ってなかった。それまでは私達は紙芝居と呼んでいる、静止画をパタパタとめくっていく形でしか表現していなかったのですが、これが手間がかかるうえに表現方法がすごく限られていて、というか、セカンドライフにいるのに大事な部分が静止画ってなんかなあ、、とずっと思っていて。動画が使えるならソッチのほうがずっといいじゃないか!と思ったのと、リーダーのNAOちゃんが動画撮る人だったのとで、気軽に動画で表現!って踏み切りました。SL内で動画を見られる人の割合、見られない人の割合、そういう不安もあったのですけれどね。結果的に動画の表現ってすごくいいじゃない!と、作った側は思っています。
毎年、「まじでーこんなこと出来るのー!」って言わせたい一心で、色々なことを考えるのですが。今年はイベント部分の動画と、マルチエンディングがそれにあたります。
今までもマルチはやっていましたし、カガミの時は第一部、第二部という形で、2周めは後日談&トゥルーエンドという作りでした。(一部をクリアしていたら、入り口で自動的に二部がはじまるっていう感じ)
今まではトゥルーエンドを見たかったら、必ず2周はしないとだめっていうつくりだったのですが、今回はその辺を少し変えて、最初からトゥルーにも行ける、どれだけ情報を集めたかでエンディングが分岐するという、それシナリオ書けるの?だいじょうぶ?私だいじょうぶ?っていう、ゲーム性の高いものに挑戦したのです。だって大変なの。どこから解いてもよくて、2つの謎を同時にすすめることも出来て、でもそれぞれの謎の進行状況は維持しないといけない。そこが干渉しあって不整合が出てもいけない。
基本一本道でしか物語をかけない文系頭の私には、チャートを作るのが無理だった……!というわけで、大まかな物語の土台を考えたのは、NAOちゃんです。本当にあの人神か。


本当は、これぞジャパニーズホラーというものを頭のなかに思い描いていまして。湿度が高くて、なんか陰惨で後味が悪い感じの。で、最初に話の素にしようと思ったのが「コトリバコ」でした。
あれは本当に後味が悪い…気持ちの悪い話なのですが、あの陰惨さをそのままSLに持ってきたら、なんだか救いようがない感じになりそうで躊躇しまして。やっぱり色々謎を解いたら最後はちょっといい気持ちですっきり終わらせたいと思って、今回のような感じになりました。
ちなみに、「産女」というタイトルは完全に後付です。コトリバコからもらった設定は、酷いやり方の生け贄 という部分だけになりましたが(オリジナルのコトリバコはもっとえぐいです)、出来上がったものを見返してみたら、ラスボスのお母さんは産女みたいだなあ、と。それでこのタイトルになりました。
ちなみに産女は2種類あって(産女と姑獲鳥)、後者の姑獲鳥は、子供をさらう鳥の妖怪みたいなやつだったと思います。前者の産女は、妊娠した女が死んだ時、お腹から胎児を出さずに埋葬すると産女になる、みたいに言われてる妖怪です。江戸時代か何かにこの2つのお話が混ざって、どちらも「うぶめ」という妖怪として合体した模様。言わずもがな、お腹に子供がいる状態で、子供ともども生け贄にされたお母さんは、「産女」なのです。

私は過去に、ちょこちょこっと心霊的な怖い体験をしています。SLでも怪談ラジオなんかをやっていて、そういう話は何度かしたことがあるのですが、ああいう経験を通して思ったことがあります。
それは、悪さをするお化けは、大抵ネガティブな思いに囚われているということで、その状態はそのお化け自身にもすごくつらい状態だ、ということです。
これは、生きている私達にもすごく当てはまることなのですが、「世界で一番可哀想なのは私」みたいな状態に思考回路がハマると、そこから無限地獄が始まるわけです。めっちゃ苦しい。めっちゃつらい。そして辛くて苦しいのに、この思考回路の状態だと一切何も学ぶことが出来ない。目をそらすことも出来ない。なぜなら、この状態になると視野が極端に狭まってしまうから。
こういうのを執着っていうんだと思うのですが、この執着の鎖にがんじがらめになってしまった状態が、「世界で一番可哀想な自分」なのだと思っています。ちょっと想像しただけで、嫌な雰囲気が腹の底から湧き上がってくる気がしますが。
お母さんは、何百年もお腹の子供とともに自分が殺されてしまったことを嘆いて悲しんでいます。一緒に死んだ赤ん坊は、お母さんと一緒に執着の鎖に繋がれたままです。そして、母はそれ以外のものが見えなくなってしまっています。
そんなお母さんの姿をこれまた何百年と見続けていて、干渉することができなかった、赤子の姉である花子(楓)の存在。楓は母を助けたくて、それでもどう頑張っても母が自分を見てくれなくて途方に暮れている。
私達が他人に出来ることなんて本当に僅かで、誰かを楽にしてあげよう、変えてあげようなんて思うのは傲慢です。親子の間にあってさえ、そんなことは不可能です。自分を変えられるのは自分でしかない。他人では変わらない。他人が出来るのは、変えよう、変えたい、と本気で思わせるためのきっかけを作ることくらいです。それだって、ものすごく大変なことです。
楓は母に、楽しいこともいっぱいあったでしょう と問いますが、本当はこれは、辛くたってしんどくたって、自分が死んでしまうその時でさえ、悪いことなんてなかったでしょう、と書きたかったところです。
嫌な経験、つらい経験を通して、私たちは学ぶことができるし、そうやって学んだことはなかなか忘れません。

今、どうしても手放したくないものを手放さざるをえない、みたいな感じで悩んでいる人は、「それでも悪いことばかりじゃなかった」って思ってほしいなと思います。その、どうしても手放したくないというきもちは執着ですが、形を変えれば執着ほど人の成長を促すものもないのです。それと、終わりがいくら悲劇的だとしたって、いくつかは必ず、生きててよかったなと思う経験をしているはずなのです。
辛くてどうしようもなくなった時、そういうことを思い出せることと、心配して気にかけてくれる人の気遣いを感じることは、自分にも他人にも優しいことだと思います。
皆少しても楽に楽しく生きてほしいなあ、なんてことを思いながら脚本を書きました。
あとは、子供の愛って無敵!ってことです。おとなになった今、子供の親に対する愛情みたいな愛情を誰かに注げるかって言ったら、ちょっと無理…って思う。これは昔から思っていることでもあります。


マルチエンディングと死亡フラグのコレクションという遊び方もあった産女ですが、死亡フラグもエンディングも、何人の人が見たのかというカウントをとっていました。
一番少なかった死亡エンドはDEAD03で413回。理科室の「少女がいる・・・」で逃げるを選ぶと出てくる奴です。少女に殺されます。
次に少なかったのがDEAD02、理科室の「時計の時間…」で2番めの選択肢を選ぶと出てくる奴です。骨に殺されます。ちなみにおなじ質問の別の選択肢を選ぶと、DEAD03になって、これは骨に殺されます。ここだけ選択肢によってエンドが違ったのですね。故に通る人が少なかった。新聞を読んでいるとストレートで正解出来る質問でもありました。
逆に一番多かったのが、DEAD07のこっくりさん。まあこれは、、、もうええわ!ってなった人も多かったのではないでしょうか。こっくりさんの最中に死ぬと必ずこれが出てくるというやつです。
オープン当初からこのこっくりさんと争うくらい回数が多かったのがDEAD13で、これは、新校舎2F女子トイレに出てくる市松人形です。意図していなかった。でも旧校舎と新校舎を間違えた人が多かったんだと思われます。あと多かったのは、中庭の鳥居死、女子トイレの間違ったドアをノックしちゃう死、女子トイレのドアを自分から開けちゃう死、井戸に近づいちゃったら死んじゃった、あとは職員室あたりでした。
エンディングに関しては、御札の切れ端を1枚だけ持った状態で昇降口へ行くと死亡エンドになるのですが、この死亡エンドはABCそれぞれ平均150回程度。切れ端2枚の状態で昇降口へ行くと見れるDEFが平均200回強、という感じでした。個人的には死亡エンドのABC、短くてインパクトがあって好きでした。
DEFもそれぞれコンパクトに、でもちょっといい話になって終わるすっきりしたやつです。

ちなみに動画作ったNAOちゃんは、Eエンドが一番気に入っていたようです。これは、持っている御札の切れ端によって、(自分が知り得た事実によって)エンディングの内容も変化している…というやつでした。

と、今回の日記は産女で遊んでくれた人に向けて100%みたいになりました。
どうやら来年もホラーイベントをすることが出来そうな雲行きで、大変嬉しいことこのうえないです。
こういうイベントを心置きなく出来るのは、SIMを快く提供してくれる箱庭SIMのオーナー、Yazooさんの協力や、その他諸々、喜んで手を貸してくれる人たちのお陰です。私たちは1月から準備をしていましたが、毎年SIMで作業を始めるのは、大体6月くらいから。本当に、3ヶ月間もの間、フルリージョンをまるっと貸してもらっています。ありがたい。
当然ながら、スタッフの皆にも感謝の気持ちでいっぱいです。
やりたいやりたいいいながら、通常時に入ってる販売イベントでぱつんぱつんになってるのが私っていう。。。
いや、頑張りましたけれども。それでも仕切ったり全体を把握したりという作業が超絶苦手な私は、自分がこえかけて集めて仕切るなんて絶対無理なのです。
来年も楽しく、怖いイベントができたらいいなー。


来週(もう今週かな?)の土曜日にちょっとした公開打ち上げを予定しています。
告知を大々的にするかどうかは未定ですが、産女とは全く関係ないようなあれこれを企画しています。

興味のある方は、私のツイッターなんかをチェックしてみてください。情報が出るかもしれません。

 

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