陰日向に咲く
この本には、大槻ケンヂの書評が載っている。・・・・・・帯の部分に。
だからというわけではないのだけれど、この本を手に取る大きめな理由のひとつになったことは間違いがない。
短編集。全部の話が、ところどころで繋がっていく、短い物語。
どうしようもなく、不器用な人たちの物語。
どこか醒めていて、醒めたところで自分に言い訳をしているような人たちの物語。
その不器用な人達を描く視点は限りなく優しい。
文体も読みやすく、ボリュームもさほどないので、1時間ちょっとで読了。
ずるい。
悔しいけれど泣かされてしまう。
分かってるけれど泣かされてしまう。
駄目なんだけど前向き。諦めてるけどどこか明るい。
全体的に力が抜けていて、その力の抜けた具合がよい。私にはとても心地よかった。
短編のひとつひとつもそれはいいお話なんだけれど、全体を通して見た時に感じるものがなんだかほんわかしてしまった。
色んな人生あるけど、どの人生も「それでいいじゃん」っていうような本。
さて、私は一体何人の人生の中に配置されてきてるんだろう。
どんな役目があったんだろう。
なんてことを考えると楽しい。
よい本でした。