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クワイエットルームにようこそ


松尾 スズキ / 文藝春秋
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松尾スズキの小説を読みました。

非常に痛々しい女性の物語。
痛々しい女ってのは、ここのところテレビやら何やらにも色々露出しているのだけれども、(ブランドやらホストやら風俗やらのあの人とか、ダメンズなあの人とかね)多分そんな人に他人事じゃない何かを感じつつ距離を持って眺めてる、感覚。

誰だって自分がおかしいなんて認めたくないのだろう。
それを認めてしまうと何かが挫けて崩れてしまうのだろう。
そういうところであがくことは、傍から観たら滑稽でみっともないものなのだろう。

認める、には二種類あって、上を向いてる場合とその場に留まりたい場合とあって。
上に向かうことができる余力がないとだめなのかもなぁとも思う。

主人公は、非常に淡々とあっさりと周りを観察して、さらにどこまでが正しいのか分からない自分の感覚と向き合う。
すっかり認める準備ができて、認められた時に、彼女は一歩踏み出す。

非常にリアルになりたくはない自分になってしまった人の描写がなされているので、痛いことこのうえないが、最後に爽やかさの残る小説でありました。
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