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エイジ


重松 清 / 朝日新聞社(2001/07)
Amazonランキング:7,735位
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中学2年生がたくさん出てくる小説。
主人公のエイジ君、中学2年生。で、13歳〜14歳。
キレる中学生とか、中学生犯罪がわーっととり沙汰された頃に書かれた小説。

酒鬼薔薇聖斗事件を題材にした「うつくしい子供(石田衣良・著)」と比べて読んでしまった。

リアルな子供達の描写という意味で、エイジは秀逸。
きっちりと、丁寧に、その時代の息苦しさやその年代の息苦しさを描いている。
文中の文体、エイジが自分の気持ちを語った後で必ず出て来る、「なぁんて。」うまいなぁと思いました。

現役の中学生は、「今の中学生は云々」と言われることに対して、腹を立てる。そらそうだ。選んで現役中学生なわけでもなければ、昔の中学生の事など昔の中学生にしか分からない。
けれどそういう思いって、大人になるとわすれがちなのかな。鈍感になっちゃうのかな。

本当はすごく簡単なこと。
自分が言われたらどう思うか想像すればいいだけのこと。
自分の中学時代はどうだったっけなーと思い出せばいいだけのこと。
大人はしばしば、子供に対してそう言う部分で無神経だ。
なぜだろう。
子供だとたかを括ってるからじゃないのかな。

意識的にしろ無意識的にしろ。

自分が子供時代に背負っていたもの、今同じように背負えと言われたら、まともにやっていく自信がない自分がいる。
背負ってる荷物の重さなんて、大人も子供もたいして変わらない。
子供はいいよなぁ、なんて口が裂けても言えない。

悪意と善意、なんで悪意から目を逸らすの?って聞かれてエイジは考える。
最終的に出したエイジの結論は、なんだかとっても素敵だ。

善意は悪意に負けっぱなしだけれど、「好き」は善意とも悪意とも違って、正しいも間違ってるもカッコいいも悪いも関係なくて、ただこんなに気持ちがいい。
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