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A君編 #3

ここは居酒屋。通されたテーブルには、「詩の朗読会」のメンバーがいた。
リーダー(♀)と、A君のお友達(♂)という人が照明屋さん。
私は積極的にこの2人に話しかける。それが私の使命。

和やかに話が進む。こちらは必死だ。いい感じに話が盛り上がってきたところで、A君がとてつもない一言をはなった。
「たいこちゃん、かわいいね」

人間、本当に驚くとリアクションが取れなくなるものなんだなと実感している最中にに、A君のお友達であるリーダー(B君にしよう)が、

「こいつ、たいこのこと好きらしいの」

なんて口走ったからたまらない。
私の微妙な予感は的中。

人に好かれて、微妙な気持ちになるとはこのことか。という初体験。
A君も、それに便乗して「うん。好きだよ」と、さらっと爆弾発言。

ここで、「私、彼氏がいるのー」とか、「私、好きな人がいるのー」とか切り返せないのが私の弱いところ。


当時は朝7時から10時まで働いてあとは家でまったり、という非常に暇な生活を送っていたため、


「(脚本の事で何かあれば)いつでも電話してください」


なんて言っちゃった後だった。バカ。私のバカ。


その後からである。
毎日毎日、なぜか午前11時半ごろにA君から電話がかかってくるという事態。
彼は大学生だったのだが、なぜか決まって大学へ向かう途中にかけてくるのだ。公衆電話から。

「あ、Aです。これから大学行くところ」

用件は、これだけである。2分と持たずに切れる電話。
私はいったい何を?何を求められているの?と、軽い恐怖を毎日私に与えていた。



まだ続くよ。
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