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A君編 #2

初顔合わせの嫌な予感などすっかり忘れ、10代最後のクリスマスイブを衝撃的に過ごした(※註1)私。もちろん映画の原稿もそこそこ快調に進んでいた。

しかし正月も元旦から、その予感をはっきりくっきり思い出させるような素敵な便りが届いた。年賀状 From A君。そこには、

「お互い、多くの幸せ(ハート)があるといいね」

と書いてあった。
うん。なんだろうこのハートは。まあいいや。見なかった事にしよう。
翌日はA君たちと新年会をする予定であった。

実はA君、詩の朗読の会というものに入っていた。
彼らは3月の朗読会に向けて活動しているらしい。
そこのリーダーが、本職の照明屋さんと聞いて、スタッフ人材不足に頭を悩ませていた私は、その人を紹介してもらうように頼んだのであった。

その絡みでの新年会招待であったのだ。年賀状にハートがついていようといまいと、断るわけにいかない飲み会なのであった。
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次の日

待ち合わせは地下鉄K駅。改札を出たところで待っているというので、時間に間に合うように、多少緊張しつつ待ち合わせ場所へ向かう。なんとかして自分の劇団の照明さんになってもらわなきゃ。頑張らなきゃ。頑張れ私。

果たして、待ち合わせ場所にA君はいた。彼は禿げヅラに鼻眼鏡をかけて待っていた。
照明さんゲットの使命がなければUターンして自宅に戻っていた。映画の話すら蹴る勢いで。しかしそうはいかない。照明さんは必要不可欠な人材なのだ。

仕方なく、なるべく目立たないように声をかける。

「あ、あけましておめでとう」

「ああ、おめでとう。じゃあ行こうか」

なんとA君、その格好のまま歩き出すではないか。

「あのー・・・その顔はなあに?」

…思わず聞いてしまった。

「え?…ああ、なんとなく。ウケるかなと思って」

ウケねーよ!という突っ込みは胸の中。彼はなんと、その格好のまま会場まで歩き始めた。正月早々罰ゲームの気分で、少し距離をあけて私は彼についていく。しかもここは、自分の地元に程近い場所。どこに知り合いがいてもおかしくない。違った意味でかなりドキドキしながら、居酒屋への道を急ぐ私。

しかし、本当の意味での衝撃は、ここから始まるのだった…。






※註1・同時進行でK君という23歳大学生にも好かれていた私は、彼と衝撃クリスマスイブデートをしたのだが、それはまた別の話。
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