A君編 #1
私は、独身時代「マニアックキラー」として友人各位から娯楽の対象にされてきた。
どういうことか。どうも変わった人に好かれる傾向にあるのだ。
今回は、まずその第一弾としてA君の話をしようと思う。
A君は映画が大好きで映画監督になる夢を持つ大学生(20歳)だった。
どういうことか。どうも変わった人に好かれる傾向にあるのだ。
今回は、まずその第一弾としてA君の話をしようと思う。
A君は映画が大好きで映画監督になる夢を持つ大学生(20歳)だった。
これは私が19歳の頃の話。
当時、私は三角公園という劇団をやっていた。
ついでに脚本だけ、劇団外の方に書いたりしていた。
「映画の脚本を書いてほしい」
という依頼が来たのは、19歳の12月の頭の頃の話である。
あらすじはできていて自分で監督する予定なのだが、脚本がどうしても書けない。代わりに書いてくれないか。という依頼だった。
私は映画のシナリオなんて書いたことなかったけれども、「そこはそれ、まあなんとかなるだろう」という軽い気持ちで打ち合わせをすることになった。
初顔合わせの日。
場所は池袋サンシャイン。
当時はこうやって待ち合わせて初めての人とよく会っていた。
なので、あらかじめ電話で「茶色いフードつきのコートを着ています」などと目印を決めて待ち合わせをするのだ。携帯もメールも普及していない時代、ましてや写メなんてなかった時代。会うまでその人の風貌はブラックボックス。
彼は、私がそうやって会った中でもひときわ衝撃的な風貌をしていた。
劇団に入りたいなんていう人は、みんなどこかしら個性が強いので大抵の事では引かないが、彼に関しては、私は引いた。
電話で聞いた彼の年齢は、20歳。
実際に会った彼を見た私の感想は、「35歳ですか・・・?」である。
それこそ、服装から顔から何もかもが。
しかしそんな衝撃を顔に出しては失礼にあたる。「これから一緒に作品を作り上げていくことになるかも知れない人なのだから。ビジネスビジネス。にっこり笑え!私よ!」と、そんな葛藤を表にも出さず、喫茶店へ。
時はさっきも言ったように12月。
池袋の街は、クリスマスムード一色である。
そんな池袋の小洒落た喫茶店で、見た目は35歳の20歳青年と打ち合わせをする19歳乙女。心の中は複雑である。でも顔には出さない。脚本かけなくなる。
そんな複雑な心境をよそに、打ち合わせは着々と進行していった。
努力の甲斐あって、映画の脚本を一任された私。頑張った頑張った。もうこんな街ともこんなシチュエーションともしばしおさらばだ。とっとと帰ろう。と、こころもち急ぎ足でサンシャインの動く歩道を歩いていたら、斜め後ろくらいを歩いていた彼が一言。
ああ、もうすぐクリスマスだなぁ。寂しいなぁ。
このとき感じた微かな予感。決して嬉しくはない予感。
しかし、得てして嫌な予感ほど当たるもの。
そんなことを嫌と言うほどこの後思い知るのだが、このときの私には知る由もなかったのである。
当時、私は三角公園という劇団をやっていた。
ついでに脚本だけ、劇団外の方に書いたりしていた。
「映画の脚本を書いてほしい」
という依頼が来たのは、19歳の12月の頭の頃の話である。
あらすじはできていて自分で監督する予定なのだが、脚本がどうしても書けない。代わりに書いてくれないか。という依頼だった。
私は映画のシナリオなんて書いたことなかったけれども、「そこはそれ、まあなんとかなるだろう」という軽い気持ちで打ち合わせをすることになった。
初顔合わせの日。
場所は池袋サンシャイン。
当時はこうやって待ち合わせて初めての人とよく会っていた。
なので、あらかじめ電話で「茶色いフードつきのコートを着ています」などと目印を決めて待ち合わせをするのだ。携帯もメールも普及していない時代、ましてや写メなんてなかった時代。会うまでその人の風貌はブラックボックス。
彼は、私がそうやって会った中でもひときわ衝撃的な風貌をしていた。
劇団に入りたいなんていう人は、みんなどこかしら個性が強いので大抵の事では引かないが、彼に関しては、私は引いた。
電話で聞いた彼の年齢は、20歳。
実際に会った彼を見た私の感想は、「35歳ですか・・・?」である。
それこそ、服装から顔から何もかもが。
しかしそんな衝撃を顔に出しては失礼にあたる。「これから一緒に作品を作り上げていくことになるかも知れない人なのだから。ビジネスビジネス。にっこり笑え!私よ!」と、そんな葛藤を表にも出さず、喫茶店へ。
時はさっきも言ったように12月。
池袋の街は、クリスマスムード一色である。
そんな池袋の小洒落た喫茶店で、見た目は35歳の20歳青年と打ち合わせをする19歳乙女。心の中は複雑である。でも顔には出さない。脚本かけなくなる。
そんな複雑な心境をよそに、打ち合わせは着々と進行していった。
努力の甲斐あって、映画の脚本を一任された私。頑張った頑張った。もうこんな街ともこんなシチュエーションともしばしおさらばだ。とっとと帰ろう。と、こころもち急ぎ足でサンシャインの動く歩道を歩いていたら、斜め後ろくらいを歩いていた彼が一言。
ああ、もうすぐクリスマスだなぁ。寂しいなぁ。
このとき感じた微かな予感。決して嬉しくはない予感。
しかし、得てして嫌な予感ほど当たるもの。
そんなことを嫌と言うほどこの後思い知るのだが、このときの私には知る由もなかったのである。