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希望の核

目の前を、すり抜ける、その、手を
あと少し、あと少し、ほら、あともう少し。
後少しなのよ。
その、あと少しの距離の、なんと絶望的な事か。


そして扉が閉まる。


無情に。閉まる。残るのは感傷ばかり。
甘痛い、感傷は、閉じた心には優しく響くだろう。


幾度となく、手をすり抜け、
幾度となく、扉を閉ざされ、
それでも、
あきらめず、
懲りず、
今までやってきた。


そして、拒絶の言葉を投げかけられるたび、
私は静かに絶望する。


それはあきらめ。
またか、というあきらめ。


越えないの?
越せないの?


最後の、一枚の、うすっぺらい、その壁。
その壁こそが、いつでも私を絶望させる。


ダメかもしれないと、思っていても。
その壁さえ越えれば。


そんな確信が、私を捉えて離さない。


いっそのこと、絶望して、切り離してしまいたい。
この、希望の、核。
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