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手放せないもの

歳を取るごとに、手放せないものがどんどん少なくなっている気がします。
手放せないもの=執着 というならば、手放せないと思っている事って全て思い込みでしかないのよね。
これがなくなったら生きていけない、と、思い込んでいる程度。

そういう事を経験から学んでいるから、きっと「これだけは手放せない」って事を思わない。
そしてかけがえがないのは、そうやって学んできた自分自身の中にある経験なのではないかな。
しかしそれでさえ、たとえば記憶喪失なんかになって全部消えてしまったとしたら。
生きていけないなんてこと、思わないだろうしきっと生きていく。

きっとそれなりに生きていく。私も、私と関わっている人達も。

という風に考えた時に、果たして手放せないものってあるのかなと思う。
きっと答えは、ノーだ。
手放せないものなんて、ない。

でもそれはあってもなくても同じということでもない。

ちょっと間違えるとすごく冷たい考えかたにみえるけれど、この考えかたは大切なんじゃないかなぁと思ったりもする。


ちなみに、純粋に「物」に対しての執着は、子供を産んでからだいぶ少なくなった気がします。
子供が小さい頃、まだ赤ん坊の頃、悪気もなく破いた大切な本や、
若い頃に書いた台本や、
芝居を観に行っては書いていた感想文のノート。

物なんて所詮、物でしかないな。と、悟らざるを得なかったのはそのときの話。
芝居をたくさん観に行った、経験と記憶があるからそれでいい。
忘れてしまっているならそれまでの記憶だよ、と。


それでも戸棚の片隅からひょっこり出てきた、昔に観に行った芝居の半拳の束は、やっぱり捨てる覚悟ができずにいるのです。



・・・これって手放せないってこと?
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