サボテンとバントライン
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髑髏城の七人 season 花 2017-04-06

ごきげんよう、たいこです。
さて、今年最初の観劇してきました。劇団新感線の「髑髏城の七人season花」。
髑髏城の七人は今までに何度となく再演している演目で、新感線の代表作の一つだと思っています。ステージアラウンド360という、新しく出来た劇場のこけら落としとして、今年1年かけて、Season花 Season鳥 Season風 Season月と同じ演目を違うキャストと演出で突っ走る、というとても楽しげな企画なのですね。
こういうのはお芝居の醍醐味だなあと思いつつ……チケットが結構お高い公演なのですが、出来たら4回全部観たいなあと思っています。でも大人計画も観たい。悩ましい。

新感線は比較的わかりやすいストーリーにかっこいい殺陣、豪華なセット!衣装!って感じで、あまり脳みそを使うことなく観たあとに気持ちのよい余韻の残る、ザ・エンターテイメントなお芝居をする劇団です。昔ほどシモネタ多くない。昔はひどかった。いや、演目によるか。今もそこそこか。
髑髏城はメインキャストの男子3人、過去にあった事件で同じような傷を負っていて、なんとかかんとかそれを乗り越えつつ生きている、生き延びる過程で三者三様の道を辿り、この物語で再び三人がめぐりあい、ぶつかる様を描いています。
いわゆる闇落ちをしてしまった天魔王(成河)という悪いやつがいて、死にかけた後、同じ境遇の仲間を集めてまとめて無界という、色街に見せかけた安住の地を作った蘭兵衛(山本耕史)、捨てようと思っても捨てられない縁や人を振り切るように放浪している捨之介(小栗旬)。それぞれに捨てきれない想いを抱いて、それを隠したり暴走させたりしながらぶつかり合っていく。しかしその、捨てるに捨てられない想いの源は、もうとっくにいなくなっているわけで、人の執着する心ってのは本当、いや、ないと困るものではあるのですが、ねえ。やるせない。
この3人のキャラクターがもう、本当にかっこよいのです。悲しくてかっこよい。

人の気持ちは、本心は、決して一つというわけではなく、いつだって相反する願望があるもの。あれもこれもしたいけれど、どっちもは取れないみたいな。で、そういうときにどちらかを選択する基準ってなんなんだろうなあ、と思うわけです。
本当はもうないってわかってるのに、それでも捨てられない希望みたいなもの。これが一番厄介なんだ。本当に。

なくしたってつらくたって、志半ばで命尽きてしまった仲間たちのためにも、今生きている自分を必要としている人たち、必要としてくれるかもしれない誰か、そして何より自分自身のために、やっぱり生きていかなきゃいけない。髑髏城で決死の戦いをした七人は、戦いが終わった後、また新たに生きていく場所に向かってそれぞれの道を歩んでいく。

「浮世の義理も、昔の縁も、三途の川に捨之介!」

度々登場する、この捨之介のキメ台詞(台詞のあとに拍子木がチョーンって鳴る)。
これがお水どばどば使ってハードなロックがガンガン流れてライトもわんさか使った、超派手でかっこいい殺陣の後でピシっと決めてくれるわけです。お芝居の醍醐味かってなる。

本当にやめられない……お芝居やめられない……。小さい小屋には小さい小屋のよさがあるし、大きい小屋にも(大きいのに小屋)大きい小屋にしか出来ないよさがある。しかし共通してるのは、生っぷりだなあ。映画のように大きく映すことはできないし、当然小屋が大きくなれば、表情なんかの細かいところで演技を観ることは出来ないわけです。が、それでも俳優の演技やセリフが、その大きな会場を圧倒してしまう、この感じが本当に好きです。

メインの3人も素敵でしたけれど、狸穴次郎右衛門を演じた近藤芳正や、贋鉄斎を演じた古田新太の、それぞれ方向性の違ったうまさも堪能しまくった。上手な演技はそれだけで幸せになれるのです。

今回の会場であるステージアラウンド360、円形劇場なのですが、ステージは円の外周側にあって、客席が真ん中にあるというすごく珍しいつくり。
アジアには1個しかないらしいです。客席がぐるぐる回転するのですが、実際に観るまではどんな感じなのか想像もつかず。
実際体験してみたらなんか、すごい。ハイテク!ww 見せる部分以外は幕(って言っても円形のパネルみたいなやつなんだけど)で覆われていて、その広さも狭さも自由自在。幕の上には基本何かしらの映像が流れていました。草原とか、石垣とか。幕も回転して客席も回転して、幕の上には映像が流れて、おそらく風が吹いたりもして、お客さんは物語に沿って移動してる感覚が味わえる。場面転換の暗転もほぼない。カットインカットアウトな転換でなく、全部が一つに繋がってる不思議な感じを味わいました。また、客席が回転するので出口も入り口もその時々で変わるのですよねw
最初と幕間と終演で、全部出口の位置が違ったのがすごく不思議な感じでした。


新感線は、今はチケットが大体13,300円と結構なお値段で敷居も高いのですが、公演が終わってしばらくすると、「ゲキシネ」という形で、映画館で録画した公演を上映するのです。
これはいわゆる劇場中継とは違って、カメラをたくさん使ってきちんと映像作品として楽しめるように編集された演劇です。
これも通常の映画より料金はお高めなのですが、ぐっと敷居は下がると思うので、ちょっと興味のある人は是非、情報見つけて観に行くことをおすすめします。

ステージアラウンド、シーズン鳥はすでにキャストも日程も発表になっています。花で小栗旬が演じた捨之介、次回は阿部サダヲが演じるようです。蘭兵衛は早乙女太一、天魔王は森山未來。私が何年か前に観たときのキャストは、捨之介=小栗旬、蘭兵衛=早乙女太一、天魔王=森山未來でした。早乙女太一の殺陣は、本当に、心底かっこいいので、本当に皆1回生で観たほうがいいと思います。おすすめ!!!

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